お金 借りる

いつか当たると信じていた人生

今にして思えば、確実に時分はギャンブル依存症だったのだと思います。お金が手に入れば競馬につぎ込まずにはいられない人生でした。競馬のない日は宝くじに手を出し、とにかく一発逆転の人生を狙っていました。お金が手に入ると睡眠欲も食欲も忘れて、とにかく競馬や宝くじを買うことしか頭になくなってしまうのです。

 

お金が手に入ると言っても、それは給与です。家賃を支払ったり光熱費を支払ったり携帯電話を支払うために使わなくてはならないお金でした。しかし、最初は携帯電話を無視しました。彼女もいなかったですし、仕事も携帯がなくても問題なかったので、携帯電話の代金の支払いよりも競馬や宝くじをすることを優先しました。競馬も宝くじも大きな金額を当てたことは一度もありませんでした。過去に当たったことのある金額と言えば競馬で7000円程度、宝くじは1万円の当選が最大です。しかし、そんな金額であっても嬉しいことには変わりなく、もしも更なる大金を当てたらその嬉しさはどんな気分だろうかと想像し、いつの日か体験したいと思うようになっていました。競馬では時折、史上最高額の当選が出たと話題になります。たった百円の馬券が数千万円になるのです。

 

宝くじは一気に数億円のお金が入ってきます。そんな瞬間を体験したくてお金を注ぎ続けました。このままやっていても当たる保証はない。時折そんなことも思ったことがあります。しかし、それまでに使った金額が頭をもたげ、諦めて引き返すという考えにはなれなかったのです。次第に携帯電話だけではなく、光熱費の支払いも無視するようになりました。携帯電話は通話を止められてしまいましたが、光熱費はすぐには止まらないので、すぐに困ることはありませんでした。それでも家賃だけはきちんと支払う理性があったのです。しかし、あるときスポーツ新聞を見ていたら、どうしても馬券を購入したい馬があったのです。大穴を狙うようなものではなく、かなり堅実な馬です。

 

家賃を払うのは数日遅れても問題なかったので、お金を増やした上で家賃を払おうという考えが頭に浮かびました。最初はそんなことをしてはだめだという思いもあったのですが、発送が近付くにつれてそわそわしてしまい、結局は家賃の中から3万円を馬券購入にあてました。結果は見事に駄目でした。堅実とは言うものの、そんなものは言い訳にすぎず、結局はギャンブルだったのです。当然、家賃は足りなくなりましたので、なんとかするしかなく、軽い気持ちで消費者金融を利用しました。家賃を補てんするだけのつもりでしたが、それ以来、競馬や宝くじをどうしても買いたくなり、手元にお金がないときには消費者金融から借りるという癖がついてしまったのです。貸してくれるところがあるということは自分に甘くなるとでも言うのでしょうか、以前のように悩むことも少なくなり、気軽にどんどん借りてしまいました。結局、競馬も宝くじも当たることはなく、増えたのは借金だけでした。総量規制というものができる前でしたから、借金額は年収を超えていました。

 

しかも、グレーゾーン金利が適用される以前の話ですからその利息はとんでもなく高く、半年ほどで借りては返すという自転車操業になり、その数ヶ月後には返済することさえ不可能になってしまいました。弁護士事務所に相談し、任意整理と共に過払い金の請求もおこない、借金はかなり減額されましたのでその後はなんとか返済をおこなうことができ、今に至っています。今ではもう競馬も宝くじも見向きもしません。たまにやりたいと思うことがありますが、借金することの怖さが頭をもたげ、必死にやめています。ギャンブル依存症からは完全には抜け切れていないのだと思いますが、これから時間をかけて完全に抜け出せるように頑張りたいと思います。